選挙前雑感

昨日テレビ番組で6党首会談があった。ほんの短い時間だったので各人もなかなか話し辛かっただろう。このような番組であればもう少し時間をとって議論をしてもらえばよかったと思う反面、限られた中で各人がどのように的を絞って議論をするのか見ることができた。また、司会者はかなりの政治史の知見のある人だったので、党首でもかなわない場面もあった。
感想としては、議論のルールを守れなかったのは福島氏と志位氏、議論がきちんとかみ合う内容で話ができなかったのは太田氏と志位氏と綿貫氏、野党すぎる政治観を押し付けたのは福島氏と志位氏、昔話からの引用しかなかったのは綿貫氏、となる。一方、麻生氏は内容は通り一遍でつまらないものの議論としては論理的で筋が通っていた。また鳩山氏もやや不安定だったが麻生氏と同じで、どちらかと言えば2大政党にふさわしい議論があった。要するに短い時間で議論をしながら自己主張を適切に入れることができたのはこの二人だった。他の党首はその点で議論にもならないし、自己主張が強すぎるか弱すぎる。ビデオ出演の渡辺氏は生活ばかりで国家像を語らなかったし、田中氏は労働集約型を目指す、というので時代錯誤を感じた。
改めて感じるのは党首のブレーンの存在である。米国でもどこでも政治リーダーにはブレーンが必要だ。そこで党首の発言内容からブレーンの影を見ることができる。その意味で麻生氏のブレーンに革新性の無さが覗えるし、民主党には改革を進める新しさが見える。(マニフェストの実現性はいずれも50歩100歩だろう。)他の党首は残念だが党首しかブレーンがないのか、と思われる。麻生氏の基的な学習能力が問題だが、おそらく良いスポークスマンなのだろう。いわゆるコンビクションを感じる。麻生氏にとっては自民党のブレーンの稚拙さが悔やまれるのかもしれない。
また昨日商店街の中で石原氏の演説を垣間見た。石原氏の選挙区には民主党も立っておらず「敬遠」された状態だが、民主党推薦の社民党候補が脅かすほど石原氏の危機感は強い。他の候補者の選挙応援など、他人の蝿を追っている事態ではない、との気持ちが覗える。
ここで問題なのは候補者の一方的な演説が多すぎることだ。商店街のスペースでは無理だが、最後の最後まで候補者と有権者が議論できる場を設けるべきではないか?候補者の演説は多くの場合自画自賛に偏っており、有権者の意見や意識を汲み取って日進月歩すべきではないのか?それこそ「情報の共有化」で書いたように議論を交わし情報を共有化することで民意が分かり、さらに候補者自らの主張を適切に修正し、選挙に臨むことができる。
候補者が有権者より知見と経験があるという特権意識を改革し、候補者の一方的な主張だけで満足する有権者は少ないという事実を政党に理解させる必要がある。