無視できない外の視線(その2)

8月5日にも書いたように、前掲の外務省の失態も「外の視線」を理解できない組織の疲弊を如実に表している。責任者の追及は避けて通れず、万が一「うやむや」にすれば日本の民主国家に対するアジア諸国からの批判が集中するだろう。
しかし本質的な問題は外務省の組織である。外務省とあろうものが、アジアと世界の人権・民主主義に対するスタンスを理解できないとすれば、組織内部の縦割りの弊害で「まっとうな意見」がミャンマー側を招待した部署に届かなかった可能性もある。
組織の中で他部署の意見が届かない例は大企業では普通だ。だからこそ、外部の意見が重要なのであり、外部の意見を取り入れるか否かで、その組織そのものの存亡が決まることになる。
最近の報道では、セブン&アイ・ホールディングスに対して「不公正な取引方法の禁止」、「優越的地位の濫用」が適用されるとし、セブン・イレブンの本部側の販売店オーナーへの契約行為は公正(フェア)ではないと国が判断した、となっている。
セブン側には自らが開拓したチェーンのルールとして価格設定の権限を店主側に与えなかったが、そもそもそういった行為がフェアかフェアでないか、また店主と消費者の権利を損なう圧力となっていないかどうか、経営者が本部の社員や幹部から正しい忠告を聞き入れる余地はなかったのだろうか?あるいは経営者の誤った判断に対して、これらの正しい忠告を行う幹部や社員はいなかったのだろうか?
前者に問題があれば経営者の資質の問題であり、後者であればイエスマンしか採用しなかった人事部の問題である(人事部に介入しなかった経営者が悪いのだが)。
いずれの場合でも「外の視線」を経営者が必要としていれば、社内の不作為リスクは避けられたであろう。間違った組織の論理の継続に対していかに「外の視線」を取り入れるか、経営者の資質が問われる。