外務省の失態

日本の外務省がまた失態をさらした。報道によると、ミャンマービルマ)で03年に民主化指導者アウン・サン・スー・チーさんが襲撃された事件にかかわったとされる軍事政権の翼賛組織「連邦団結発展協会(USDA)」のトップが、外務省の招待で来日した。
同協会幹部は米国やEUでは入国ビザ発給禁止、資産凍結の対象となっているし、さらにミャンマーの特別法廷がスー・チーさん有罪判決を言い渡したことに対して、世界中から怒りの声が上がっており、ASEANや国連安全保障理事会も「スー・チーさん有罪判決に深刻な懸念を表明」している。
日本は経済以外でもアジアにおける重要な役割を果たさなければならないし、日本とアジアとの政治的な協調体制が日米関係の安定にもつながる。ましてや国連安保理の意向を完全に無視した外務省の行動にはあきれるばかりだ。
この外務省の非常識、不見識な行為の背景には、アジアそして世界における民主主義と人権の流れとその世論を理解できない歪んだ役人意識がある。(そういえばタクシー運転手を雲助呼ばわりする裁判官がいた。) 日本国外務省は、違法に権力の座にしがみついているミャンマーの軍政権や、個人の人権を陵辱する軍関係者に対してあまりにも無神経であり、相手国の国民の立場やそれを支援している世界の民主主義そのものを考えていない。
外務省の責任者の追及と、今後このようなことが起きないように、外務省の行動に対する事前チェックが必要になる。