人権と人道

そろそろ戦争ものが一巡した感があるが、つくづく感じるのが人権と人道である。
我が国やアジア諸国ムラ社会なので集団を個よりも尊重する風土があるし、個々の人権を軽視する歴史がある。一方、欧米は階級社会でありキリスト教の影響もあって「プロテスタントと資本主義」のような考え方があるために個が優先される。アジア人からみると欧米人は自己中心的であり、欧米人からアジア人をみると個が欠落している。
しかしアジア人は本来、個は尊重しなくても他人に迷惑をかけないという節度があったがそれが集団になると忘却される傾向がある。今夏の戦時番組でもとくに印象に残ったのが日本軍が侵略したアジア諸国で民間人を大量に虐殺したこと、そして捕虜を平然と銃殺にしてきたことだ。これらがジュネーブ協定を批准しないから、という理由ではなく人道を逸脱した殺戮を平気で行える集団心理が働いたことである。これはヒットラー政権のナチスに順応したドイツ人と似た点がある。
一方、米国は最後に広島と長崎に原爆を落として民間人を殺傷した。それまでは捕虜を大量虐殺するのは日本軍だったが、この時点で人道は米国軍人にとって忘却のかなたとなった。
戦時の人道、平和時の人権、いずれも集団や組織になったときの個々の判断力と間違いを正すチカラが必要である。