納税者(Tax Payer)と料金負担者(Rate Payer)

選挙演説の中で、「税金と年金の使われ方を正そう。」という声が聞かれる。そして「これらの血税をムダに使われたり、天下りに使われてはならない。」と続く。政府には徴税能力(taxing power)があるが、国民は納税者(tax payer)としてその税金の使われ方を知る権利がある(外交や防衛などの一部を除いて)。
一方、以前にも書いたが、電気、ガス、水道などには我々は一方的に公共料金を支払っている。つまりある意味では税金と同等の支払い制度がある。これは供給者が地域独占で料金が政府認可だからだ。これは4年前の自由化論議において、電力会社は自由化に反対し、その結果家庭の電気ユーザーは引き続き競争のない電力会社から供給サービスを受けることとなっている。
このように家庭での電気ユーザーは約款料金(tariff rate)を支払う義務があり、約款料金で支払う人は料金負担者(rate payer)となる。つまり、公共料金を支払うユーザーは厳密には消費者(consumer)のように選択支はなく、料金負担者(rate payer)には料金やサービス、そして料金の使われ方に問題や苦情があっても他のサービス提供者を選択できない。納税者tax payer と比較して料金負担者rate payerと呼ばれる由縁だ。
本来、納税者tax payerは、その税金が恣意的な使われ方をしたり、その税金で一部の関係者に対する利益供与が行われたり、天下りによってOBに特別の便宜を図ることを見張り、違法であるかどうかチェックできるはずである。したがって公共料金を支払っている料金負担者rate payerも、子会社への利益供与が行われていないか、(メーカー支援、デベロッパー支援、種々の家庭内サービスなど)例えば電気を安定的に供給する電気事業以外の余計な仕事に電気料金が使われていないか、独占的地位を乱用していないか、OBのメーカー・関係会社への天下りが行われていないか、などをチェックする必要がある。さらに公益企業の社員も自らに課せられている業務が正しいかどうかの判断を各人が行い、会社が決めたから、という理由で建設的な批判を避けるのは、まさに日本海軍の「やましき沈黙」と同じである。
納税者の権利と同様に料金負担者の権利を明確に主張して行使し、公共料金を収受している独占企業の経営をガラス張りにする仕組みを作らなければならない。