モラルとマナー

先日も都内のJR車内で空席に突進してきた中年の女性を見かけた。日本語を連れの男性と話していたから日本人だ。彼女は突進する体力があるのだからハンデイキャップのある人ではない。座る必要がある人が(それこそ体力が無いから)ゆっくり乗車しても間に合わない。
米国から帰国して驚くことに、こういった日本人の「我先に」の姿がある。スーパーで買い物をしているときやレジに並んだときに見られる、空いたカウンターやレジに突進するダッシュ型オバサンや、飛行機が到着したり空港バスが留まったときに前方ダッシュするダッシュ型オジサン、列があるのに人ごみから抜け出そうと前の人の背中を押すプッシュ型オバサンなどさまざまだ。
「我先に」は日本人だけではなく、中国人もそうだと言われる。北京オリンピックのときにバスの整列乗車を当局が教育したほどだ。
マナーとモラルは本来教えるべきものではないが、マナーとモラルを自ら知徳していない人には教育すべきだ。それは車内の公共広告でも車内放送でもよい。きちんとマナーの遵守を指導しなければならないのは、こういったオジサンやオバサンは自ら改善する能力を持っていないからだ。
米国のある都市で、マナーの悪い若者がバスに乱暴に乗り込んできたときに、はっきりと彼らを制したバスの運転手はまともである。日本では「我先に」を許しているのは、「我関せず」の無責任主義なのかもしれない。我関せずは、間違ったことを注意しても仕方が無い、という考え方が、学校、企業、政府すべてで蔓延しているからかも知れない。