グリーン・ニューディールについて(その1)

グリーン・ニューディールについては現状の制度とビジョンについては明確な表現が必要だと思う。
まず、現状の制度だが、日本のエネルギー供給構造はまさしくプロバイダーロジックの塊である。それは例えば電気事業分科会などを見れば一目瞭然でそこに出席するのは一般電気事業者(電力会社)数名と新規参入事業者(電力会社以外)、(電力側か非電力側につく)学識経験者数名および1名の消費者代表となっている(役所は事務局)。ここでは電力市場における供給側である電力会社と新規参入者の利害調整を図るのみであり、消費者の利害はほとんど反映されていない。本来は、例えば3名の供給者側、3名の消費者や企業を含む需要家側、そして(供給者に利害は無いと宣誓した)学識経験者が対等な立場で議論を交わすべきだが、現状ではエネ庁の書いたシナリオで進んでいるだけだ。
消費者団体は経産省の補助で活動しているという本末転倒な状況と考えられる。したがって消費者団体は電力市場に関する情報や知識を得る手段がない。(米国では州ごとの規制機関の中に電力消費者団体が設けられている。)
日本は地震大国、資源小国である。そして温暖化ガス排出防止では省エネや再生可能エネルギーの普及を含めて国民的な行動を起こさなければならないし、それが政策にもなっているはずだ(エネルギー供給構造高度化法案、代替エネルギー法案など)。しかし、電力会社は販売電力量の拡大を目指して、ガス会社とオール電化で戦っていて、これは省エネを目指す国策に完全に反する行為であるが、巨大化し政治パワーをもつ電力会社の既得権益にはエネ庁も経産省も立ち向かえないのが現状の制度の問題である。
このような制度上の問題は米国でもあるが、環境問題に先進的なカリフォルニア州だけは、デカップリング法によって電力会社が省エネや新エネ投資をしたときに税制面の優遇措置を受けられるために、電力会社が販売電力量至上主義となっていない。