喫煙とルール

フランスでは今年4月から飲食店は全面禁煙になったし、米国ではオバマ大統領がタバコ規制強化を行っている。米国ではすでに公共の場所やレストランでは全面禁煙であり、欧米から日本に戻ると飲食店での喫煙者の多さに改めて驚かされる。禁煙の徹底は禁煙者の権利の保護と医療費抑制が背景にある。
日本では喫煙に関する法律は20歳以下は吸えない点だけであり、あとはマナーに任せている。その例が健康増進法や神奈川県の条例にある「分煙」である。さらに都内の多くでは路上禁煙のマークがあちこちに見られるが、喫煙者のほとんどは無視している。杉並区では10月から過料を徴収するとのことだが、誰が何の法律に基づき設置されたルールで、誰にその執行権があるのか、を明示すべきである。日本語以外に英語、韓国語、中国語での掲示も要るだろう。そしてその執行権にもとづき、違反者は厳正に処分すべきだ。
我が国ではマナーを守るお願いではダメなので、結局ルールの適用が必要となる。区民のみならず、その区を通過する人たちに周知徹底する手段を増やさなければならない。タバコの火の危険度、回りの人々への副流煙による健康被害は考えればわかるはずだが、分からない人たちにはルールの適用が必然である。ポイ捨てなどのモラルの低さはもっての他である。
レストランも禁煙や分煙が望ましいが、それが実施できないのであれば、「当店は禁煙です」「当店は分煙です」「当店は喫煙席のみです」という表示を入り口に掲示すべきだ。分煙できない店舗は、例えば、月・水・金は禁煙、火・木・土は喫煙可などとすることもできる。このように入り口にキチンと表示すれば嫌煙者、妊産婦や子供連れ、そして心臓病患者(と予備軍)は、店に入る前に煙害リスクを避けることができるし、進んで健康を害したい人は集まって楽しめばよい。喫煙者と禁煙者が同じ空間で混在するから問題が発生する。
個人が自らの健康を守る権利は存在するはずだ。