企業グループを超えたオープン・スタンダードの必要性

7月25日の「ガラパゴスのモノ作り」に書いた内容に関して若干の進展が見られた。今朝の日経に「日産自動車三菱自動車富士重工業東京電力が、電気自動車(EV)用の急速充電器の普及加速を狙って連携する。EVの普及に欠かせない充電インフラの整備に向け、自動車メーカーと電力会社が互いに技術情報などを持ち寄り、効率的なインフラづくりを目指す。」との記事があった。
以前は三菱自動車と東電のチームだったがそれに日産とスバルを加えたカタチだ。しかし、ハイブリッドで先行するトヨタはどうするのか?また東電と他の9電力とはどうするのか?さらに海外の自動車メーカーとの対応はどうするのだろうか?このままではそれぞれに個別の充電スタンドが街に並べられる。
企業グループの利権を優先することなく、我が国のスタンダード作りに貢献するのが公益企業であり、地域独占と規制料金を認められている電力会社の社会的責任ではあるはずだ。東京電力三菱自動車と充電インフラを開発した背景には販売電力量を増やそうという電力会社の意図が見えるが、規制業種で独占を認められている企業が非規制の一自動車メーカーとタイアップして充電インフラのスタンダードを非公開にすることに疑問を感じる。
本来は産業界支援の経産省とエネルギー業界支援のエネ庁が独立してお互いにけん制しなければならず、またこのようなエネルギー独占企業による自由化分野での行動をチェックする規制当局が独立して存在すべきである。
電力会社は一部のメーカーと充電インフラスタンダードをクローズするのではなく、スタンダードを最初からオープンにして開発を行いうべきだ。ドメスティックな電力会社が海外の自動車と連携して世界スタンダードを採用する立場でなければ電力会社は最初から関与すべきでなく、経産省や自動車工業会が率先してオープン・スタンダードによる開発を指導してほしい。「金があるから、技術者がいるから」という理由で企業が特定のメーカーと開発するのでは、結局、産業の競争力を失わせることになる。