米国発、強権政治打倒の動き

 昨年、オバマ政権が誕生したのはABB (Anybody But Bush)と呼ばれ、共和党の強権政治に国民がNoを突きつけたからだ。現在、オバマ大統領はブッシュ時代のさまざまな強権政治の暴挙を暴こうとしている(一例がグアンタナモ基地の収容所閉鎖である。)
 この動きはネット時代の到来に合致している。強権政治に反対する民主化の声がネットで拡大した。強権政治側の共和党の立てたマケイン候補は電子メールが使えなかった。
 今年に入って、少なくともこの動きは世界に影響を与えている。イランの改革運動、中国のウイグル新彊自治区での民主化運動、そして日本の「政治再編」運動である。これらの共通点は、いずれも人権を無視してきた強権政治に対する民衆の怒りであり、民主化を望む国民が遅まきながら声を上げ初め、老獪政治と既得権益に対するインターネット世代の反抗となった点である。そして重要なのが基本的人権に対する再認識である。
 これらの新たな動きには新しい国家思想のパラダイム変革を伴う。米国の変革では民主党think tankであるCenter for American Progressがこの新たな国家思想の構築に貢献した。一方、イラン、中国ではこういったthink tankが主立って存在しない。日本の場合、自民党think tank霞ヶ関であったが最近、霞ヶ関のブレインは民主党に流れているという。独立したthink tankが無ければ、時代の大きな変化とともに必要なパラダイムというか新国家戦略を構築する組織が風見鶏の政治によって流されてしまう。
 我が国においては現在、Anybody But Asoという声が自民党内にもある一方、次のリーダーが見えてこない。リーダーを支える国家戦略を練るthink tankをいち早く組成しなければならない。そして国民の意図をネット世界で吸い上げ、マニフェストの各論ばかりでなく、新たな国家思想と戦略を構築する人材と組織を養成しなければならない。同時に、インターネットや電子メールが使えず、民意が理解できない強権政治家や老獪経営者が去る時代が急速に到来したようだ。