フランスももう隠せない?

フランスで建設中の新型原発EPRで安全基準の違反があったことをHumanite誌が伝えている。それによるとゼネコンのBouygues社など数社が事故を隠していたということだ。そして同誌は原子力安全局ASNの報告書の抜粋を掲載している。
ここでは合計42件の安全面と労働面の違反があったことを示している。また2010年には112件の事故がありそのうち38件が事故扱いされていなかったという。同原発の建設はすでに2年も工期が延びており、さらに2年ほど遅れる見通しだ。
さらにフランスのMediapart誌は、フランス北部のノルマンディーにあるPaluel原発で、いわゆる事象(incident; 事故accidentの手前の現象)が多発していると伝えている。
有毒ガス漏れがあったり、放射能汚染のガスが放出されているため、作業員の不安が募っているとの報告だ。そして第3号原子炉がガス漏れで停止し16名派遣されたが、放射性キセノン・ガスを吸引したという。
ここでは燃料棒の被覆管の破損も懸念されている。しかしフランス電力EDFは運転を続けているそうだ。同誌によると2001年から2008年の間に30件の同様の漏れがあったという。壊滅的な事態ではないが、安心できる状況でもないと伝えている。
フランスで興味深いのは、大手の新聞はほとんどがサルコジ派に握られているため、原子力関連の悪いニュースは、地方紙や大手以外のメディアでしか知られていない点であり、日本と状況は似通っている。
ぼやき庵では米国ミズーリ川の増水で、ネブラスカ州の2基の原発で水面が上昇してあやうく冠水し、冷却用の発電機が止まる危険に近づいたが、日本の大手メディアはほとんど伝えていない。さらに米国でも報道管制が敷かれているという話まである。
上記のような原子力関連の情報隠ぺいは、日本だけでなく米国、フランスにも見られるのであれば、原子力発電がこう言ったリスクを隠ぺいせざるを得ない技術であることを示している。
また、電力会社とゼネコンとの癒着体質もこの際すべて白日のもとにさらして、汚職体質を一掃すべきであろう。