大本営発表になっていないか

経産省原子力安全・保安院は18日夕の記者会見で福島第一原発1〜3号機の事故がINESでレベル5にあたるとの暫定評価を発表した。1979年の米スリーマイル島原発事故と同じ評価。保安院は当初1号機をレベル4としたが放射性物質の放出などを受け引き上げた。
しかし米国では3日も前から、スリーマイル原発事故よりも甚大な事故であり、チェルノブイリほどはひどくないが、放射能漏れを起こしていないスリーマイルよりも被害が大きいと発表していたことと比べると、日本の呆れるばかりの「呑気さ」が見て取れる。これは事なかれ主義なのか、不安を煽らない国民性なのか。
米国は戦争の経験、カトリーナの経験など有事の危機管理については進んでおり、常に最悪の事態worst caseを想定して動いているが、日本は不安を煽らないようにする国民性のためか、情報を遅らせたり、楽観的に加工しているようだ。しかしこれは、終戦間際の大本営発表に似ていないだろうか。そして国民は総じて、政府に騙されていないだろうか。
ここで米国18日朝のWSJ紙を一部紹介する。
事故を起こした福島第一原発について、在日米国大使館は米国民をアジアの他地域へ輸送すると述べた。また放射線被害の情報のコントロールを期するため無人の軍用機やU2スパイ機を原発上空に飛ばして、損壊状況の情報を直接収集する。(→日本発の情報は信じられなくなったということだ。)
日本政府からの情報の質に対する米国政府の懸念の度合いは劇的に高まっている。次々に起きる事態に関する信頼できる情報が得られないため、実際現場で起きている事態を正確に把握することができない。
米国政府は、日本側の発表が要領を得ないことを認めたこと上で原発放射能線のリスクが高いという緊急警告を発した。
米エネルギー省は日本政府にポッドと呼ばれる放射能探知センサーを提供した。
米国政府内には、日本政府からの情報のスピードと確度に対するフラストレーションが異常に高まっている。
フランスと日本の原子力規制当局は、4号機の核燃料プールに水が確認されたとしたが、米国当局はセンサーが放射能を探知したとして避難に相当すると判断した。
原発のオーナーである東京電力は不安を押さえようとしており、ドイツと中国が原子力開発を中止している。