エジプト時評

NHKがエジプトの反政府デモを「暴動」と報道していた。何たる無知蒙昧か。
最近の池上彰週刊文春のエジプトに関する「教え」でMuslim Brotherhoodwp取り上げ、反米勢力の台頭を懸念すると述べていた。彼の2流経済論議は女子高生並みだが、2流政治論議週刊文春が取り上げるとは世も末だ。
前回も述べたがMuslim Brotherhoodは今回の民主化デモ=暴動ではないし反政府テロでもない=でも、この民主化活動には乗り遅れている。アルカイダにしては、まったく陰も姿もない。つまりチュニジアとエジプトの民主化運動は「イスラム革命」ではなく、イスラム化がソリューションと若者たちは決して考えていない。そのことを、NHKも池上氏も検証せずに我々を女子高生と同じビューアーと扱っているのはアホである。
エジプトの学生達は、イスラエルに対する政治的すぎるエジプト政府の妥協や米国のイスラエル優先の妥協を由としていないが、さらにイランやタリバンのような体制は望んでいないのである。
これはエジプト革命と呼ばれるかもしれない。それはイラン革命でもないし、イスラム革命でもない。
おそらくMuslim Brotherhoodはこの革命には関与していないだろう。しかしながら今後のエジプトの政治的、地勢的(対イスラエル、対パレスチナとしても)には一定の責任と役割が必要だ。
イエメンは4月の総選挙を延期した。しかしながらイエメンは米国の対アルカイダの護りの糧である。イエメンの不安定化は中東における政治と安全保障にとって起爆剤となる。
アルジェリアも19年続いた、反政府グループを排除する戒厳令を解除する方向だ。それによって民主化デモもやっと合法化されるかもしれない。(2月12日にデモが予定されているが。)
このようにアラブ諸国はエジプトの経験を注意深く見守っている。これらの国々では間違ってもデモを制圧するようなことがあってはならない。(NHKや池上氏の言うように暴徒と考えるのはまったく馬鹿である。)
少し聡明な人間なら分かるように、独裁政治にとって反政府運動をテロと決めつけるのは非常に安易な手法であったし(日本のような稚拙なメディアは何も考えずに報道したが)、米国の軍国主義と反アラブ主義の戦略であることは自明の理である。
しかし米国が今回のエジプト民主化運動で、イスラム系テロリストの指名手配の乱発に歯止めがかかったように、日本のメディアも前頭葉の手術をすべきである。
今回は一気に書いてしまうが、この解決策がトルコである。
チュニジアはトルコの政治改革と民主化をモデルとしていると言われる。チュニジアの未来を語る際には、タリバンもイランも、バカらしくて話にならないと彼らは考えている。トルコの主張はal-Nahdaであり、新しい世代に穏健で、民主的なイスラムを教えることにある。
これはエジプト革命であり、政治的な運動ではない点をもっと理解すべきである。実際、Muslim Brotherhoodでさえ、民主化デモでスローガンも出さなかった。(日本なんか、意味のないスローンだらけであるが。)日本だけがどうやら恥ずかしい状況にある。