ダボス会議の無責任な発言は撤回を

ダボス会議の時期が余りにも悪いあることは昨日も書いたが、ダボス会議の結末はさらに最悪だった。何と「ドルの終焉」を宣言してしまった。
国際金融を知る者なら当たり前の話だが、ドルが基軸通貨でありながら米国が国際収支節度を守れない以上、ドルの長期的な滅価は避けられない。
しかし、ドルの滅価をあえて公に宣言する必要はない。ダボス会議は全くの勝手な、私的な会合であるが、そこでの発言は通貨不安を招くだけである。
ユーロにしても欧州PIGSポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)の財政不安やドイツ連銀の硬直的な運営では、長期的に安定するはずがない。イスラエルの発言はまったく不可思議である。
このようにユーロも宛てにならない現状では、結局人民元の蔓延を招くだけである。しかも中国は人民元の管理相場を手放さないだろうから、国際通貨体制は人民元の切り上げカードを集中に収めた中国に振り回されることとなる。
このままでは円もドルも人民元に飲み込まれるだろう。
決済通貨のばらばらな世界貿易体制の一番の被害者は日本であることを忘れてはならない。