Fast Moneyという番組を見て

* 欧州の経済危機に対する深刻な懸念が示された。
 欧州に最も貿易量の多いアジアへの景気の影響が心配されている。
 欧州との貿易のない中国国内需要に依存している企業はOKだろう。
 買い、は中国の国内需要で伸びている日本企業かもしれない、
 ユーロとともにドルは下落し、円は高くなるだろう。
 Warren Buffetもおそらく円高を見越し、中国への進出企業を中心に買いの指令を出しているのかもしれない。
* 米国は財政負担が厳しいがドルが基軸通貨としてまだ流通しており、国際収支節度がないことで国および企業が延命できている。
* 日本は技術力を背景とした国際的な信認がまだあるため、企業に政府資金が回っていることで企業が延命できている。
* US Treasuryは買いである、というのはTreasury versus High Yield Bondのスプレッドが広がっているから、という理由である。ある意味ではFlight to Qualityがある。
 しかしこれは国の財政が安定しているときの議論であり、米国、日本、欧州も政府が財政危機に瀕しており、国債市場は下落するトレンドであるからこの議論は正しくない。
 Treasury vs HYBのスプレッド取引なら理解できる。
* 欧州はギリシャの危機ではなく、ギリシャ、イタリア、スペインの危機であり、PIGSを巻き込んだことにより英独仏の財政が影響を受け、経済成長の足かせになっている点である。
 財政の足かせは、官民の資金調達コストを引き上げ、債券市場を下落させ、配当性向を引き下げ、中長期的な成長を阻害するのである。最近では独仏ともに太陽光発電向けのFIT価格引き下げを余儀なくされている。
Goldman Sachsに対するWarren Buffetの支持が発表され、金融機関としての経営能力が評価された(利益創出マシーンとして)わけだが、これは他の一般投資家を犠牲にしているという市場のゼロサムゲーム性、利益を出すためにはモラルを外してもよい、違法でなければ何をしても利益を確定すべきである、といった金融市場のモラル全般が問われていることにまったく触れてない。

日本のメディアはギリシャの財政危機の裏にある、EU全体の財政危機(イタリアとスペインはギリシャの数倍の債務がEU内にあること)の危険性を真剣に報道すべきだ。