欧州の政局について

英国では6日木曜に総選挙が行われる。
最近のサンデー・テレグラフ紙の予想では、野党保守党が36%、与党労働党が29%、長年第3極だった自由民主党が27%の支持率となっている。
仮に保守党が第1党となっても過半数を取ることは困難視されており、政府は連立政権となるだろう。その場合には(日本のように)それぞれの党のマニフェストが実施できなくなり、結局、国民への約束は守られなくなる。
一方ドイツでは9日日曜にドイツで最も人口の多いノースライン・ウエストフェリア地方選挙がある。(人口は約1800万人) メルケル政権与党のCDUに対して、同地方で元々勢力の強い野党の社会民主党の優勢が予想されている。メルケル政権への批判は、教育と雇用であり、さらにギリシャ支援で223億ユーロの拠出による財政悪化がある。
ドイツ国民からは「政府の仕事と政策が明確でなく迷走している」と映っている、とベルリンのフリー大学の専門家が話している。
英国、ドイツ、フランスでも与党陣営が脆弱化しつつあり、それは日本と似た状態である。事の発端は、各政権が(おそらく)リーマンショックの景気低迷から脱出するためのビジョンと政策に明確性を欠き、場当たり的な財政ばらまきとポピュリズムに頼る政権運営に陥ったことと考えられる。
百年に1度といわれた経済危機にさらされた各国の指導力の欠如、対応への不備が政治不信を招き、さらにばらまき政治によって財政の悪化を招いているのは日本だけではない。
欧州も日本も根本的なパラダイム・シフトを必要としている。それは政治と経済の仕組み両方を転換する必要性を表している。
日本の有権者が夏の参議院選挙に臨む際に、これら欧州の政局を参考にできる。