金融素人の暴走をストップせよ

亀井静香氏がゆうちょの資金を海外インフラ整備などに充てることについて「集まった預金を地域、国家、世界のために使うのは当然の話」と述べた。相変わらずの金融素人の暴走である。
第一に海外での運用は数多くのリスクが伴う。為替相場、政治リスク、投資制度や外貨送金制度など、投資先リスク以上のリスクが複雑にからみあう。
第2に郵貯リスクマネーに投資すべきかどうか、国民が同意・納得したのか、である。インフラ整備といっても前述のようにリスクが高いし、出資か融資かによってもリスクが異なる。融資のリスクが少ないとはいっても融資先がこければ同じである。
第3に官僚が資産運用して成功した事例はない。過去の石油公団の事例を見れば明らかだ。彼らの運用には競争原理が働かないし、運用者に投資インセンティブがないし、リスク管理の経験者もいない。一流の海外インフラの投資担当者は、国家公務員の給料で働くわけがない。
第4に国が投資に失敗しても誰も責任を負わないし咎められない。したがって成功するはずがない。そうすれば当然、元本滅失リスクがあり、その結果損失補てんの場合には税金が使われることとなる。
以前も格付け機関に対する国の干渉を行うという亀井氏の素人発言を本稿で批判したことがあるが、今回の場合は元本損失の補填に税金が使われる可能性の高い愚作である。
リーマンショックで日本の何社、いくつの法人が多大な損失を被ったのか、亀井氏には記憶がないのだろうか。海外のインフラ投資はプロの世界なのである。
金融素人を暴走させている現政権を早くストップすべきだ。