平和ボケと安全ボケ

先月の山口県防府市での豪雨被害に続いて、今週、兵庫県佐用町でも被害が出た。防府市が住民に避難勧告を出したのは、災害発生後だった。同市ではその日の午前に観測史上最大の時間雨量70.5ミリという異常降雨を計測していた。(昨日記したように東京都の下水道の排水限界基準は毎時50ミリの降雨である。)
また佐用町では9日午後8時前に佐用川の水位が危険レベルの3メートルに達し自動的に警報音が発せられる仕組みになっていたが、町役場による避難勧告はその1時間20分後という最悪のタイミングになった。
防災システムとしては正しく反応していたが、防災の問題は常にヒトである。結論的にいえば役場にリスク管理というかリスク感覚がまるでない。佐用町役場は防府市のつい3週間前の災禍と行政側の対応の拙さを耳にして、迅速な対応を役場内で徹底できたのではないか?
昨日のブログでも書いたが、防災には科学的なシミュレーションが必要である。これは毎時何ミリの降雨があればその地域でどのような水流がおき、どのくらいの水位になるか分かるからである。そしてCGなどで分かりやすく危険度を伝えることが大切だ。
さらに最新の3軸センサーを使った無線ネットワークを利用すれば、斜面のズレや傾きの変化、上流での水位の変化、防護壁内部の雨漏りなどが遠隔地でも観測できるし、警告も自動的に発信できる。
このような危険のビジュアル化や探知システムによって住民の方々が安全に避難することが大切だが、それよりも先ず安全ボケした防災担当者に豪雨のリスクを肌で感じ取ってもらうことが大事だ。気候変動によって、「今まで50年間に経験した範囲」を超える災害がいつでも起きるのだ、ということを理解しなければならない。
住民の生命を預かっている自治体ではヒトの防災意識が最も重要である。