無視できぬ外の視線

民主党マニフェストの内容に関して“ディスクロージャー”の考え方は支持できるとの意見を述べた人がいた。要するに情報開示の必要性の認識である。
米国のオバマ大統領が今年1月に就任直後に最初に起こした行動が、政府関係者における利害相反の払拭のための情報開示と行動規定であった。さらにブッシュ時代で公開されなかった情報を開示するようアクションを取った。
ブッシュ政権は「世襲」である。とくに“内輪”にこもり内部の論理で事が運ぶことが多かった。チェイニー副大統領のイラク戦争の政策執行には情報開示がない。
オバマ政権は情報開示による既得権益からの脱却、国民の目線、外部意見の重要性を説いている。これは企業経営にもあてはまる。 情報開示による知見の共有と外部情報とのすり合わせが必要だからだ。
大企業において社内情報はなかなかトップに伝わらない。とくに辛口の建設的な批判は途中でもみ消される。とくに日本的経営では和を重んじ、表立った批判は避けることが美徳とされる。だから有能なトップは社内情報に頼らず社外役員やアドバーザーを採用し、プラスとマイナスの意見を聞くのである。
森は外から見る必要があり、森の中にいる社員は外から森を見ることができないだけでなく、リーダーにも伝えられない。
リーダーにとって外部情報の客観的な解析能力を持つことは死活問題だ。そしてリーダー予備軍を育てるためにも、中間管理職の段階から外部識者の意見を取り入れる姿勢が大切だ。