エコと交通(その2)

環境、エネルギー、交通は一つの都市のグランド・デザインの中で統合し議論する必要がある。
英国では環境と産業の行政が一つにまとまる動きだし、米国ではオバマ大統領のグリーン政策で元環境保護局長官がエネルギーと環境の行政をまとめる補佐官を務める。一方、我が国は旧態依然の縦割り行政が続く。
少し考えればわかるのだが、エネルギーと環境(とくに温暖化対策)は切り離せない。発電燃料においても輸送燃料においてもエネルギーの消費が環境負荷となる。家庭でのエネルギー消費も同じだ。
さらに電気もガスも輸送用燃料も消費地まで輸送する。そのための輸送が環境負荷をもたらし、また輸送のためのインフラ(送電線、ガス供給幹線、高速道路、LNG船)の設置・運営も環境負荷となる。
ほとんどのエネルギー消費には消費地までの輸送コストと負荷がかかり、エネルギーコスト、その環境コスト、エネルギー輸送の環境コストによってヒトやモノが移動している。
新幹線通勤をする人は徒歩や自転車で通勤する人よりも多くのエネルギーを必要とし、そのエネルギーを消費する地点までエネルギーを輸送する負荷がかかっている。
最近、欧米で議論されているエコはエネルギー自給自足のコミュニティーだ。そこでは通勤・通学・買い物がすべて自転車での移動範囲内にあるか、せいぜい路線バスによって通える20キロ圏内にすべての都市機能を集約させている。
それは都市計画であり、エネルギー、環境、都市に関する行政を集中し、新たなエコ都市のデザインを推進する必要がある。そのためには我が国も資源エネルギー庁(本来はエネルギー省であるべき)、環境省国土交通省の縦割り行政を廃止し、21世紀の本当の低炭素コミュニティー建設に取り組まなければならない。