中国の災禍と日本

 中国に二つの災禍が襲っている。南部の洪水と新彊ウイグル地区の暴動である。前者は気候変動または温暖化の影響ととらえる向きもある。そうなると日本のように「温暖化防止は産業に悪影響」であり「中国のような発展途上国が温暖化防止に無関心なら参加する必要がない」という論点はもはや通じない。中国が本格的な温暖化防止策に転じる可能性があるからだ。
 後者では140名の死者が出ていると伝えられる。ウイグル人イスラム教徒への締め付けが爆発したのである。中国はこの暴動を予見していた。先月のイランの不正選挙と政府による改革派の弾圧を中国は一切報道しなかったからである。中国の新華社通信の報道は、イラン政府の報道と同じであり、人権と自由を求める民衆を警察権力が弾圧し、それを暴徒として報道している点である。
 イランの政府による弾圧で犠牲者が10数名となったが、今回は140名である。イランの場合には世界のイラン大使館に民主主義への弾圧に対する批判が続出したが、日本ではこのような民主化のための抗議の動きまったく見られない。ウイグル人の惨殺行為を正当化する中国政府に対しても、日本人は再び無関心でいるのだろうか。