電気自動車の革新的普及を

ドイツは2020年までに電気自動車を100万台普及させることを決めた。これは環境政策の一環であり、環境政策と産業政策の一致つまりグリーン産業起こしである。欧州の自動車業界は電気自動車の開発で日本に遅れを取っているが、ベンツやBMWなど高級車メーカーが電気自動車で巻き返しを図っている。
そのためにEUは欧州を上げてこの電気自動車の充電プロトコルの共通化を図っているのだ。つまりEUは電気自動車というハードの開発が遅れている半面、IECの充電プロトコルというソフトで1枚岩になり欧州の製品群の輸出基盤を構築している。
一方、日本勢は各メーカーの急速充電システムがやっと「話し合いの場をもとうか」といった段階であり、電力会社、自動車会社、電池メーカー、電機メーカーの系列としがらみをどのように整理するか、課題は多い。しかも経産省が本来の取りまとめ役の機能を果たしていない。つまり日本はハードは強いが、メーカーのエゴが強すぎてソフトというか国内標準化がまるで弱い。
また米国も自動車メーカーのサバイバル問題の解決が先であり、当然、電気自動車の開発も遅れているし、充電プロトコルも民間団体のSAEが取りまとめようとしているが、結局牛歩の歩みだ。つまり米国の電気自動車の市場はハードもソフトもまだ未整備であり、市場参入余地は大きい。
製品一つ一つの複合性や高機能化の開発に優れた日本だが、今後は電気自動車の例に見られるように、充電ネットワークに対する通信プロトコルの国単位・地域単位での共有化・共通化を図り、メーカー独占の市場からメーカー解放の市場へ変化を遂げれば、日本の自動車産業が巨大な米国市場を手に入れることも可能なのに、非常にもったいない気がする。
最近よく聞かれる次世代電力網(スマートグリッド)に表されるように、エネルギーの供給インフラに通信インフラが整備されれば、あらゆる電気製品が通信ネットワークに接続して高機能化される時代がくる。各製品はそれぞれが高機能化する必要はなく、ネットワークにつながること〜コネクティビティ〜によってネットワーク(家電)製品として高機能を発揮するのだ。それによってユーザーはデバイスの選択支が増え、メーカーは国境を越えて競争し、技術開発がさらなるイノベーションを生み出す好循環となる。
日本はこのまま行けば、「(高機能)製品残って国滅ぶ。」となってしまう。「日本の電気自動車は最初の100mだけ先頭を走っていたね。」と過去の話にならないようにして欲しい。