発電所の売却と正しい脱原発コスト計算を

枝野経産相の言うような「電力会社のぎりぎりのリストラ」は供給を不安定にさせる。それよりも資産売却が先だ。人のコストを切り詰める前に、電力事業の構造の見直しが必要なのである。
また実施すべき資産売却は送電網ではなく発電所である。有識者がいろいろと発送電分離を話しているが、実態は理解していない。欧米で見られる構造改革は、電力会社から先ず発電所を売却するか会社化・分離であり、送電網を売却するのではない。会社化・分離したあとでその株式を第3者に売る場合はあるが最初から送電網の売却はない。
人のコスト切り詰めはモラル低下を伴う。そもそも原発事故で流通網に携わる人員や予算を削ること自体が誤りであり、原発そのものを見直さずに火力発電などからの電力を送る流通網を不安定にするのは逆だ。
また「学術会議」とやらが(おそらく電力会社側のデータで)脱原発による電気料金アップを算出しているが、原発をもしも止めずに大がかりな安全対策を施す(野田首相の言うような世界一の安全基準を作れば)そのコストは膨大であり、原発コスト増による料金アップの方が脱原発による料金アップを上回るだろう。そもそも今回の原発事故による総被害額が天文学的な数字になるのに、それを考慮せずに原発コストを(事故前の前提で)低く設定していることが間違いである。
原発に係る学識経験者はすでに不要なので、正しい原価計算をもとに脱原発のコスト計算を実施する必要がある。